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02/BEEK DESIGN 土屋 誠「デザイナー&クリエイターズネットワーク」ご登壇者の紹介
2025年02月05日
デザイナー&クリエイターズネットワーク登壇者のご紹介です。
今回はBEEK DESIGNの土屋 誠さんです。
(登壇日:2025年2月5日)

土屋 誠
・デザイナー
・アートディレクター
1.「山梨の人や暮らしを伝える」
こんにちは。土屋と言います。
僕は「山梨の人や暮らしを伝える」というテーマで仕事をやっています。一応、デザイナー、アートディレクターなのですが、僕はあまりアートディレクター、デザイナーと名乗っていません。
なぜかと言うと、デザインやディレクションもするのですが、編集者としての目線で編集もするし、写真を撮ったり企画も練ったり言葉も書いたりするので、それを総合的に含めて皆さんの伝えたいこと、山梨を「伝える」いうことをやっているからです。
7年前から韮崎市の「アメリカヤ」という建物の5階に事務所があるのですが、アメリカヤの通りの商店街にお店が増えてきたり、韮崎の日常の景色がだんだん変わってきていています。今年の3月には7店舗ものお店ができて、小さな商売を始める人で賑わってきています。(※現在事務所は移転しています。)
僕の具体的な仕事内容は、
・ブランディング(98WINEs…etc.)
・ロゴの制作(AKITOCOFFEE…etc.)
・移住冊子や商品パンフレットの制作
・商品(名)の立案(ワイン、ビール)
・イベント企画(ハタオリマチフェスティバル)

など、「見え方の部分」を総合的に創作しています。

僕は2013年に東京から帰ってきて、当時山梨のことはまだ深く知らなかったのでまずは自分が知ろうと思って、地域のフリーペーパーをつくり出しました。これを使っていろんな地域の垣根を越えていろんな人と関わったりすることができました。
制作の過程や取材でいろいろな人に会いに行けるので、そのことが今の糧になっています。トークイベントをしたり、「BEEK」としてお店を編集して、いろんなイベントに出たりしました。
2.日常の中で自分が心地いいものを

自分は本が好きなのですが、山梨では本に関わるイベントが少なかったため、自分で開催してみようと思い立ち、甲府のアーケードで「こうふのまちの一箱古本市」を始めました。一箱古本市は一般の方が、ダンボール1箱に本を詰め込んで売るという本屋さんごっこのようなイベント。甲府の銀座通り商店街で2014年に始まって今までで8回ほど開催しました。僕はパンと本とコーヒーを休日に楽しむのが大好きで、そういったことを楽しむためのイベントにもなっています。
日常の中で自分がいいなと思う「モノやコト」は自分で編集もデザインもできるので企画してつくり出して、同じような気持ちの人たちと楽しめる場を作れたらと思っています。お子さんから、年代上の方まで、いろんな世代の方に参加していただいています。

最近は出版も始めまして、「MOKUHON PRESS(モクホンプレス)」という出版社を立ち上げました。山梨在住の方々の暮らしから生まれるものを本にしたいと思い始めました。
今後は韮崎のアメリカヤの商店街で、「YOMU」という本屋さんをやろうと思っていまして、その本屋も準備中です。(※「YOMU」は営業を開始しています。)
3.これからのこと、山梨のこと
いろんな地域の宿に行ったりして、いまの山梨を伝える観光本ってないよね、とみんなと話していて、それがいろんな切り口で作れたらいいのかなと思っています。昨今、山梨にすごい人も増えましたが、アップデートされた観光本が10数年ぐらい出版されていないので、そういったものをデザインセンターの中で、みんなで作っていくっていうのも面白いのかなと思ったりしています。

山梨県は甲府を中心に甲州市や北杜市など、いろいろな場所に自然があって、物づくりをしている人も多い県だと感じています。物だけでなく食の分野も一緒で、そういった人が食べる物、人が使うものを作る人たちを見ていると、その行為がとてもクリエイティブで、自分のやっているデザインという行為が薄っぺらく感じられたんですよね。そこからデザイナーと名乗るのをやめてしまったかもしれません。
ものづくりをしている人たちが作って売るというところまでやっているのを見て、その姿勢こそクリエイティブだなと思い至りました。
今、僕が一番、山梨で押したいのは温泉ですね。
甲府の銭湯はほぼ温泉で泉質も良いし、その他の地域にもそれぞれの個性があふれる温泉があります。地域の人が通っている温泉では、来ないと心配で電話しなきゃみたいになる町のホットステーションのような役割も果たしています。フィジカルもメンタルの面でも温泉があることで健康でいられるんです。そんな山梨の日常の中にある温泉カルチャーを伝える冊子をこれから作りたいですね。笑

他にも山梨にはワインや織物などがあり、そういった産業が暮らしに根付いています。
ワインツーリズムやハタオリマチフェスティバルなどのイベントが始まったことで、産業の中にあるいとなみも広く県外の人にも知ってもらえるようになりました。
移住も増えてきて、山梨のいろいろな地域で様々な人が活動をしていて、コミュニティーはそこかしこにある。そういう関係性や場所があってそれを伝えることもぼくの大事な仕事のひとつ。山梨の人や暮らしを伝えるということを地場で根を張って続けていければと思っています。