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06/FLOATERS lab. 五十嵐 友美「デザイナー&クリエイターズネットワーク」ご登壇者の紹介

2025年03月19日

デザイナー&クリエイターズネットワーク登壇者のご紹介です。

今回はFLOATERS lab.の五十嵐 友美さんです。

(登壇日:2025年3月19日)

五十嵐 友美

・全国の宿泊施設の開業・運営サポート

・企業・イベントの広報、ライティング

1.ホテル業務と地域性

 出⾝は千葉県で、⼭梨とは元々縁が全くありませんでした。

 様々な経緯で⼭梨に来ることになりました。

 社会⼈5年⽬に株式会社星野リゾートに転職し、そこから地⽅での⽣活が始まりました。最初は軽井沢に4年間ほど、その後沖縄、そして福島へ⾏きました。沖縄では離島のホテルに勤務し、船てい通勤していました。それまで常識だと思っていたことが通⽤しない場所で、荷物の配送に5⽇ほどかかったり、地元の風習に配慮したり、関東では考えられない大きな台風が来たりと、対応しなければならないことが⽇々発⽣していました。知恵を絞って泥臭く仕事をしていました。

 ⼭梨には2016年に転勤し、河⼝湖にあるグランピング施設に勤務しました。トータルでは約10年間、ホテルで勤めていました。ホテル業界というと接客のイメージが強いと思いますが、会社としては「何でも現場でマルチタスクでやる」という⽅針なので、客室清掃、PR、マネジメントなど、幅広い業務を経験しました。⽇々様々なことが起こるので、それらに対応しながらこなしていくという感じです。ホテルの運営現場で起きることは、かなり幅広く経験させてもらったと思います。

 2017 年に会社を退職し、それ以降はフリーランスとしてホテルの開業や運営のサポート、コンサルティングなどを⾏っています。また、会社でPR の仕事をしていた経験から、企業やイベントのPR 、企業の事業創出⽀援なども経験しました。

2.お声がけいただいたら、どこへでも

 会社を退職後の事例としては、県内だけでなく千葉、静岡、愛知、都内の⺠泊やラグジュアリーホテルなど、様々な地域のホテルの案件に携わっています。個⼈的には⼭梨を拠点にしていますが、⼭梨の仕事に限定せず、お声がけいただいた場所であればどこへでも⾏くのが楽しいライフスタイルです。

 ホテル以外の仕事では、⼭梨県内の富⼠吉⽥で⾏われている「フジテキスタイルウィーク」という布の芸術祭の広報を担当しています。また、レストランや宿泊施設のPRを担当したり、横浜にある⽇本庭園の改革プログラムにも広報として携わりました。

3.追求したコンセプト

 ホテルでは「何よりもまずコンセプトです」といつもお伝えしています。

 コンセプトとは、どのお客様にどのような価値を提供し、最終的にどのような気持ちになっていただきたいかを明確にし、スタッフの皆さんと共通認識を持てるようにすることです。

 まずホテル事業者さんは「なぜホテルをやりたいのか」「ここで何を提供したいのか」ということを掘り下げて考えていただくようお願いしています。⼀⽅、お客様にどのようなことを求められているのかも重要です。

 ホテルに来るお客様のニーズは本当に様々で、これらを⾃分たちの⾔葉で理解できるように追求してほしいとお願いしています。中には⼈⽣を変えたいというくらいのニーズもあったりするので、深く掘り下げていただきたいと思っています。

 ⼀⽅で、採算性も考える必要があります。ホテル業は利益追求⼀辺倒の⽅もいれば、 「長年の夢だった」「採算は度外視でいい」という⽅もいます。しかし、バランスを取らないとビジネスとしては続かないということを、しっかりと説明した上で、⼀つ⼀つ掘り下げながら、最終的にどのようなホテルにするのかを決めていきます。

  ホテルは料⾦⼀つとっても本当に選択肢が多く、5,000〜6,000円で泊まれる宿もあれば、1泊30万円ほどする宿もあります。どのような建物を建て、部屋の広さ、ベッドの数、タオルの素材、シーツの素材、スタッフの採⽤、デザイン、サービス、体験コンテンツ、 ウェブサイト制作、料⾦設定など、決めなければならない要素が多く、幅も広いのです。

 まずはコンセプトです。要素に⼀貫性やストーリー、合理性があれば、外から⾒たお客様にも世界観が⾃然と伝わります。ひいては戦略上でもブランディングに繋がり、集客⼒にも繋がり、お客様とのマッチングができれば満⾜度にも繋がり、成功率も良くなります。私⾃⾝は経験上そう感じています。

 現実問題は、なかなか川上から仕事に⼊れないことも多く、建物ができてしまっているなど、動かせない要素もたくさんあります。後付けにならざるを得ないこともありますが、それでも、基本的にはコンセプトに重点を置く手法を理想に置いています。

 一例として、私がサポートさせていただいたホテルのホームページを⾒ると、シェフとその奥様が温かく迎えてくれる堅苦しくない雰囲気が特徴の宿です。

 その温かい感じを写真でも表現し、ロゴなどはアートディレクターの⽅に提案していただきました。シェフは遊び⼼を持って料理に取り組んでおり、伊⾖⾼原の出身ではありませんが、実際に暮らして美味しいものや⾯⽩いものを発⾒しながら料理に活かしている雰囲気があります。アートディレクターの⽅がそれを汲み取って、遊び⼼のある宝箱のような雰囲気を全体的に貫いています。

 宿泊時も、どのくらいデジタル化すべきか、あえて⼿書きの⽅が良いのか、例えば、チェックイン時にいきなりタブレットで全て操作していただくのはどうなのか、そうはいってもオペレーションを考えるとある程度⾃動化しないといけないといった課題などをひとつひとつ議論しながら進めています。

 もちろん私が一⼈でやっているわけではありませんが、いろんな仲間やクライアントの助けも借りながら、そのような調整をすることでよりよいホテルを世の中に送り出したいと考えています。

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