和火師・佐々木厳
山梨県西八代郡市川三郷町
和火(わび)とは、硝石・硫黄・木炭など自然原料だけを用いて伝統的な製法でつくる炭火の花火のこと。色とりどりの華やかさこそないけれど、炭の火の粉が燃えるバランスを調整することで色の濃淡や強弱がうまれ、単色でありながら壮大さや奥行きを感じさせる多彩な表情をみせます。
甲州花火で知られる山梨県西八代郡市川三郷町に煙火工房を構える和火専門の花火師、佐々木巌は、日本の伝統的花火であるこの和火の特徴的な赤褐色の灯りを通じて、慰霊や奉納を目的とした「祈りの花火」の活動を行なってきました。かつて武器として使われた火薬の原理を応用し、打ち上げ花火や仕掛け花火といった大がかりなものから手持ち花火や線香花火まで、製法によってさまざまな形となりながら多くの人を魅了する和火は、いまや世界でも注目されています。


「手持ち花火 花桜」と「線香花火 菊花」にも、和火がもつ一瞬の華やかさと儚さを十分に引き出すよう、すべてに厳選された素材が使われています。原料となる火薬類はもちろんのこと、線香花火を撚ってあるのは、同じく山梨県の市川三郷町で製造されてきた和紙。1本ずつを束ねた状態で崩れないように和紙で包み、手持ち花火も1本ずつ和紙を巻いてから整然と貼箱へ収められています。
書家による筆文字は温かみのある和紙の白さと響き合って上質な趣をもたらし、静謐さの中にも和火に託された熱い想いが伝わってきます。和火の継承者と和紙職人が手を組んで完成する花火は、未来に受け継ぐ山梨の精神文化を象徴するものと呼べるでしょう。和火の魅力を次世代に伝える、貴重な存在です。
DATA
製品名
「手持ち花火 花桜」「線香花火 菊花」
事業者
和火師・佐々木厳
所在地
山梨県西八代郡市川三郷町
デザイン
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ウェブサイト

CONTACT
電話 055-223-1796 (平日 9:00~17:00)
選考委員のコメント
JUDGES’ COMMENTS
祈りや鎮魂という精神性を、地産素材と余白を活かした静謐な意匠で美しく可視化している。打上花火の産地という文脈で、あえて個人の内面に寄り添う手持ちへ転換し、⽣活の中での火との対話の場を創出した点にストーリーがある。伝統文化を残すだけでなく、新たな精神的価値として届けるための意思あるデザインである。